タキシードのしょーもない話




思い起こせば○年前の2月10日、
竹村家と市川家の結婚式が、かくも厳かに執り行われた。
その時にお世話になったレンタルブティック
(貸衣装やさんと言うには、あまりにおしゃれすぎる)が
日常通る道の途中にある。

当然、レンタルブティックである、
そのショップのショーウィンドウには、
お正月なら振り袖、七五三なら子供用の衣装、
卒業式の時期なら矢羽模様の着物に袴といった具合に
いつもその季節を彩る衣装が飾られている。
特に季節モノの行事がないときは、
カクテルドレスやウェディングドレスが
華やかにディスプレイされている。
ちょっと浮き世を忘れさせてくれるそのショーウィンドウは
ちらっと眺めるだけでも、本当にウキウキする一角なのだ。


つい先日も買い物帰りに、そのブティックの前を
車で通り過ぎようとしたときに、たまたま赤信号で止まった。
ショーウィンドウには、1点の陰りもない目もくらむような
真っ白のウェディングドレスと、真っ白なタキシード。
とても、そこらの一般ピープルが着て似合うようなモノではない。
もう、すでに全く縁のないものと思いながらも、
ついついウットリ眺めてしまっていた。


「あんなの芸能人でもない限り着こなせないよねぇ」

「すっごい・・・真っ白やなぁ〜」
ファッションにはとんと興味のない旦那も、
さすがに気が付いたらしい。

「ウェディングドレスはともかく、あのタキシードはねぇ。
なかなか似合う人は居ないと思うわぁ」


「どんな人が着るんやろなぁ」

「結構風間トオルみたいな色の黒い人がいいかもね」

「おお! ほなオレはバッチリや」

「なにがバッチリやねん!!」

「色の黒い人・・・・」

「ただ黒けりゃいいってもんやないんやけど・・・
ゆうたやろ!風間トオルみたいなかっこいい人や」


「みてみぃ! バッチリやろ」

「・・・・・・・・」

「それに風間トオルは食わしてくれへんでぇ〜
そしたら、よっぽどオレの方がエエ男や」




はなはだしい勘違いはさておき、
間違っても風間トオルが私を食わしてくれることはない。
それなら、ダウンタウンのまっちゃんに似ている旦那の方が
よっぽど頼りがいがあるとは言えるが・・・・



風間トオルにはほど遠いと、
損した気分になるのは
私だけではないはずだ!!

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