私はが嫌いだ。まぁ、世の中にそんなに雷を愛している人はいないと思うが・・・

 東京にいた頃は夕立の時にちょっとお目にかかるくらいで、雷が鳴ると言うこと自体がそんなに日常的な事ではなかった。たまに鳴っても、「あっ、雷だ」と思う程度のことだった。それに、東京の雷は結構「おしとやか」で、そんなに大きな音はしない。当然私も大人だし、その程度の雷だったら素直に気象状況の一つとしてとらえていたと思う。

 結婚してすぐに、旦那の仕事の都合でテキサス州の州都、オースチンに行くことになった。テキサス州は広い。その広いテキサス州はもっと広いアメリカの1部で、島国に育った私たちには想像も出来ないような事が結構有る。日本でもたまに、異常気象とかで大騒ぎになることがあるが、テキサス州はその比ではなかった。直径5センチのひょうは降るし、直径1.3キロの竜巻は起こるし、いきなりバケツをひっくり返したような雨は降るし・・・。幸いにもひょうや竜巻に遭うことは無かったが、鬼のような雷雨(サンダーストーム)は日常茶飯事だった。

 日本でも台風は来るわけだし、梅雨の時期もあったりして、雨にはまぁまぁなれている。ところがテキサスの雷は凄い。見渡す限りまっ平らな平原を我が物顔でかみなり雲にのってやってきて、大騒ぎして通り過ぎていく。それこそベッドに横になってると、頭の方から足の方へ徐々に移動していくのが分かるのだ。昼間ならともかく、夜中のサンダーストームには参ったモンである。

 ご存知の通り、音の速度よりも光の速度の方が速くて、ピカッっと光ってからしばらくしてゴロゴロと音が鳴る雷は遠くにいると、子供の時に教わったと思う。そのピカッとゴロゴロの間隔がどんどん狭くなって、家の真上に来てそれはそれは大変な音を立てて過ぎて行くわけで・・・あの音には、ちょっとナイーブな男の人だったら、かなりドキドキすると思う。

 ウチの旦那は、決しておせじにもナイーブとは言えない。が、私がこんなにこわがっているんだから、少しぐらい雷の音に驚いてくれても良いではないかと思っていた。それなのに、「おっ、雷だ」ぐらいの感覚で、全然平気な顔をしているのである。その理由が、日本に帰ってきて分かった。

 現在住んでいる石川県の金沢市は、なんでも「雷の研究」で日本一有名らしい。冬になると雪が降る前に「ゆきおこし」という雷が鳴る。そんな金沢に産まれ育ったウチの旦那が、テキサスの雷ぐらいで驚くわけが無いのだ。この土地で生活をするようになった1996年の冬、ある雲の多い夕暮れ時、ウチの近所の避雷針が立てて有るビルに雷が落ちた。

ピカッ!

バリバリ!!

バキバキバキッ!!!


ドドォーーーーン!!!!


 地響きと共に、本当に、そぉいう音がするのだ。たまたま一人で留守番をしていた私の心細さを是非察知していただきたい。子供じゃないんだからと言われるかも知れないが、あの音を聞いて平気を装うくらいなら、子供と言われた方がマシである。

 子供は環境に慣れるのが早いと言う。おそらくこの地で産まれて、育っていくウチの子供は、私より先に「雷の音に反応しない人」になるのだと思う。それが証拠に・・・・雷が鳴っても全然平気な顔で眠っている。


(ある雷の鳴る午後に書きました)


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