先輩妊婦 オースチンで借りていた家は、リフォームしたばかりの「新しいにおい」のする家だった。取りあえずは(笑)新婚で、これから家具を揃えようと思っていた旦那と私の2人で住むには広すぎるほどだった。平均的アメリカの家よりも天井が高く、ロフトがあって、吹き抜けになった天井に近い部分の窓には、ステンドグラスがはめ込まれ、そこから差し込んでくる朝日が、とても綺麗で気に入っていた。その素敵な家の大家さんは、エリック&ヤスコ・ウィリアムソンご夫妻。超たどたどしい英語で、アメリカでの生活を送っていた我々には、ランドレディーが日本人だということが、とても心強かった。実際、ほんの短い間の滞在期間にいろいろ起きたトラブルは、すべてヤスコさんに相談して、エリックに解決してもらっていた。
エリック&ヤスコには、たくさんの家族がいる。警戒心が強い猫のヨーダ(結局1度しか姿を見たことがない)に、我が道を行くトラ、ちょっと臆病な(飼い主のヤスコさんから見れば気に入らないえさがでてくると、お皿ひっくり返すくらい頑固一徹らしい)ウサギのバディー(私は彼女が一番のお気に入りだった。)、由緒正しい血統の犬のキューティー。これらの動物達は、家族と言われているだけあって、家の中を自由に行き来していた。タイトルの先輩妊婦と言うのは、実はキューティーの事だ。彼女は由緒正しいキャバリアキングチャールズスパニエルの血統のワンちゃんで、彼女の結婚相手はキャバリアキングチャールズスパニエルクラブU.S.Aの名簿があって、その中から、年齢と毛の色を重視し厳選に厳選を重ねた、これまたきちんとした同血統種のワンちゃんだった。純粋な血統を残すために、損所そこらの馬の骨とは間違っても結婚は出来ないのである。お輿入れのために約1週間、彼女は結婚相手のワンちゃんの所へ預けられて・・・そして帰ってきた。犬の妊娠期間は約63日間。お風呂に入れたら産気づいてしまったとかで、予定より1週間早く、3月26日、キュ ーティーは誰にも教わらないのにヤスコさんに見守られながら2匹の女の子と1匹の男の子を産んだ。本当は4匹いたらしいが、残念なことに1匹は死産になってしまった。生まれて数日後、ベビー達を見せてもらいに行った。まだ目もあいてないベビー達は、片手のひらにのってしまうほど小さくて、ヨチヨチしてて、鳴き声もはかなげだった。キューティーは既に、お母さんの顔になっていた。おそらくは1人でも子供を産むのは大変だろうに、彼女は1度に4匹を出産した。どんなに痛かったか、どんなに大変だったかを聞きたかったが、悲しいかな彼女は犬なわけで、何も聞けずに「お疲れさま」と身体をなでてあげることしかできなかった。
強者妊婦のミキさんは、私より一足早く7月4日に女の子(エリナちゃん)を出産した。本当は14日が予定日だったらしいが、予定はあくまでも予定。早まることもあるわけで、14日に合わせて、娘の出産を手伝いに来ようとしていたミキさんのお母さんは、エリナちゃんが生まれてきてからオースチンに到着することになってしまった。エリナちゃんが生まれた日はアメリカの独立記念日で、パパ(カミヤさん)も仕事はお休み。実に親孝行なベビーだ。最近では日本でも多くなってきたが、アメリカでは旦那が出産に立ち会うのは当たり前のことで、旦那の他にも仲のいい友達が立ち会っても良いことになっている。当日はビデオカメラマンとしてヤスコさんが、カメラマンとしてヨシミさんという女性が立ち会い、出産の一部始終をカメラにおさめた。カミヤさんもミキさんと一緒に通ったラマーズ法教室で習った呼吸法を実施しながら、エリナちゃんが出てきた時へその緒を切らせてもらったそうだ。自然分娩も特に問題がなかったということで、ミキさんは翌日退院した。アメリカでは出産の直前に丈夫なベビーの誕生を願って、ベビーシャワーというパーティーを開く。もともと14日が予定だったので、ウィリアムソン宅で7月7日にパーティーが行われることになっていたが、先に出てきてしまったわけで・・・パーティーを楽しみにしていたミキさんのリクエストで、生後3日の乳児をメインゲストにしたパーティーが強行された(笑) 前ページ
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