便 秘




 どの本にも「妊娠中には便秘になりやすい」と書いてある。確かに、腸が子宮に圧迫されるのだから、出にくいのはよく分かる。妊娠していなくても女性の場合は子宮があるため、男性より便秘になりやすいわけだが、自分の身体の厚み以上に子宮のなかで子供が育っていくのだから、腸は居場所をなくして困るのは仕方のないことだ。私も多分に漏れず少々お腹がつまり気味になっていたが、繊維質の多い食べ物と水分を意識して取るようにしていたので、なんとかだましだまし毎日を過ごしていた。

 アメリカにいた頃に強者妊婦のミキさんが、あの「ちびまるこちゃん」の作者であるさくらももこさんが書いた妊娠体験記をかしてくれた。毎日英語漬けの生活の中で、読んで為になる日本語の本は本当に有り難く、悪阻で気持ちが悪いのも忘れて読みふけってしまった。その本の中にも「便秘」に関する記述が、とっても口には出して言えないような描写で書かれていた。旦那は涙を流しながらゲラゲラ笑っていたが、明日はわが身の私にとっては大笑いできる内容ではなかった。そして、とうとう悪夢の5日間がやってきたのだ。

 ある程度お腹が大きくなってくると動くのもおっくうで、運動不足になる。食べ物や水分接種の他に、この運動不足も便秘になる原因の多くを占めている。自分ではそれらのことに十分気をつけてきたつもりだ、が、ある日の朝、どうしても出ない・・・。しばらくトイレに居てみたがやっぱりダメだった。まぁ、そんなに焦ることもないし、変に息んでベビーが出てきてしまっても困るし、またチャレンジしてみればいいくらいのつもりでいた。ところが翌日も、そのまた翌日も何度トイレに通っても出る気配がない。出したいのは山々なのだが、出口のところでガンと頑張っている。そして、さくらももこさんの本を思い出した。実際彼女がどのように排出したのかは本には書いていなかったが、そのことが現実になってしまった私には彼女がどんな事を行ったのか容易に想像がつく。が、私には実行する勇気が無かった。食事をしている時も、テレビを見ている時も、お風呂に入っている時も、ベッドに入ってからもずぅ〜っと脂汗が出るほど、そいつはものすごい存在感なのだが・・・。そして「もうこれ以上ダメだったら明日は病院に行ってそれなりの処置をしてもらおう」と思った日の夜中・・・死にものぐるいの5日間に決着がついたのだった。

・・・それにしても、人間は時として想像を超えた物を製造できる物だと思った出来事だった。


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